『SANDLAND』レビュー、是非読んでほしい鳥山明先生の隠れた名作!

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悪魔の王子と戦車
作成:漫画しかない本棚

鳥山明先生といえば、『ドクタースランプ』や『ドラゴンボール』が代表作として真っ先に思い浮かぶと思いますが、
ドラゴンボール連載終了後に描かれた短編漫画『SANDLAND』はご存知でしょうか?

『SANDLAND』は短編漫画でありながら、その奥深い物語とキャラクター設定、社会的テーマを含んだ冒険譚として高く評価されています。

鳥山明氏による圧倒的なアートスタイルとユーモア溢れる世界観は、多くの読者を魅了し、
時代を超えて愛され続けています。

本記事では『SANDLAND』の魅力を多角的に紹介し、キャラクターやストーリー、メディア展開について詳しく解説します。

目次

『SANDLAND』レビュー 基本情報と作品の魅力

・『SANDLAND』とは?鳥山明による名作のあらすじを紹介

・キャラクター紹介、悪魔と人間の奇妙なチーム!

・荒涼とした砂漠の世界とその秘密

・人間と悪魔の冒険譚

・イケオジなラオの渋さが魅力

『SANDLAND』とは?鳥山明による名作のあらすじを紹介

名作のあらすじを紹介

『SANDLAND』は、鳥山明氏が2000年23号から同年36・37合併号まで『週刊少年ジャンプ』で連載された短編漫画作品です。

この短編作品は、鳥山明先生の『老人と戦車を漫画で描きたい』という気持ちが作品化され、世界的なヒット作『ドラゴンボール』とは異なるシリアスなテーマを含みながら、ユーモラスで魅力的な物語が展開されることで世界的に人気を博し数か国語で翻訳出版されました。

物語の舞台は、大戦後に水資源が枯渇し砂漠化した世界。

物語は保安官のラオという人間の老人が悪魔の元に訪れ、悪魔王子であるベルゼブブに『幻の泉』を探す旅に協力を申し出るところから始まります。

最初は嫌がるベルゼブブでしたが、大戦後に残った貴重なゲームを譲るという条件に惹かれ、旅に協力することになります。

齢実に2500歳という悪魔であってもまだまだ子供です。

ゲームは1日1時間までという約束を条件に王である父親から同行の許可をもらいます。
ちなみにこの魔物の王の見た目は完全にドラゴンボールZに登場するダーブラそのままです。
(鳥山明先生曰く、上位悪魔はみんなこのイメージだそうです)

旅への同行を決めたベルゼブブは旅の同行人にシーフを指名します。
そして、同行を嫌がるシーフをよそ目にラオ、ベルゼブブ、シーフこの3人の冒険譚が始まるのでした。

本編は鳥山明先生の代表作である『ドクタースランプ』や『ドラゴンボール』の初期の牧歌的で朗らかな雰囲気を持ちながら、砂漠化した過酷な世界をテーマとしたシリアスな世界感が融合した名作だと思います。

ちなみに短期集中連載として描かれた他の2作品『COWA!』、『カジカ』もそれぞれの世界観とともに鳥山明先生の本当に描きたかった牧歌的でどこかとぼけた雰囲気が全開となっている魅力ある作品ですので気になる方は是非ご一読ください!

キャラクター紹介、悪魔と人間の奇妙なチーム!

悪魔と人間の奇妙なチーム!
  • ベルゼブブ
    本編の主人公で赤く小柄な体型と角を持つ悪魔王子。

    見た目は小学校低学年くらいの子供だが推定2500歳。

    自分では極悪非道を豪語しているが、その実大した悪事はしていない(本人曰く、夜更かし、歯を磨かない、朝寝坊程度)。

    むしろ、国王軍を襲撃して奪った水を道中で見かけた貧しい子供に分け与えるなど、心優しい一面の方が目立つ。一方で、悪魔らしく戦闘面では非常に強く闇のパワーを吸収すると、さらに強くなる。

    闇のパワーを吸収した状態でブチギレると圧倒的な戦闘能力を誇るるうえに大怪我も一瞬で回復する。
    また子供らしい一面もあり、車や戦車の運転で喜んだり、世界で唯一残ったゲーム機に釣られて旅に同行するなど無邪気で純粋。
  • ラオ(シバ)
    保安官をしている老人の男性で61歳。

    真面目さと正義感を持ち合わせており、ウォーターフィンチという鳥が飛んでいるなどいくつかの証拠から幻の泉があると確信し、自身の村を救うため旅に出て、魔物たちに同行を願い出る。

    トンファーを武器に戦い、格闘術にも長けるなど戦闘能力は高く、ベルゼブブ曰く人間では1番か2番目に強いらしい。

    なぜか戦車の操縦も上手い。

    その正体は元国王軍で英雄と呼ばれたシバ将軍だった。

    30年前に恐ろしい兵器を作っているといわれていたピッチ人を、自ら戦車部隊を率いて攻撃したが、予想外の大爆発が起こり、自身以外の戦車部隊は全滅、妻も亡くしてしまった。

    その後は名をラオと変えてひっそりと暮らしていた。

    物語中盤で30年前の真実真実を知り、黒幕であるゼウ大将軍に怒りをあらわにし、けじめをつける事を決意する。
    妻はセクシー女優だったテリアで写真が全て燃えてしまったため、雑誌の切り抜きをお守り替わりにしている。

    道中を通してベルゼブブやシーフと触れ合う中で魔物への偏見は無くなり、人間以上に信頼できると断言するなど絆を深めていく。
  • シーフ
    老人の姿をした魔物だが、歳はベルゼブブより少し上程度。

    博識で名前の通り盗みが得意。

    好奇心が旺盛なようで、車の運転を教わったときはベルゼブブ以上にはしゃいで爆走していた。

    盗みを働くシーンは作中では1度だけでほとんどは乗り物の運転役だった。
    また、髪型には拘りがあるらしく、盗みの際に都合がいいとサンタの格好をした時はヘアスタイルが乱れる事を気にしたり、ヘアスプレーを常備しているほど。

    作中ではラオに30年前のピッチ人の真相を語り、自身が知る中で人間の行いの中ではベスト10に入るほどの愚かな事件だと伝える。
  • 国王
    砂漠の王国を治める王。かなりの肥満体型。

    もういい歳だが幼稚かつ間抜けな性格で、国政も放り出しゼウ大将軍の言いなりになっている。
  • ゼウ大将軍
    本作の黒幕的存在で、国王を影で操る砂漠の王国の実質的な支配者。

    生き延びるために自信を半機械化しており、丸いポッド状の胴体から顔と手が出ており、足は無く浮遊している。

    水資源を独占するために30年前にピッチ人攻撃を指示した張本人。真相を知ったシバとは大きな因縁が生まれる。

    作中後半では自ら出向き、未完成の生物兵器である虫人間をベルゼブブ達に差し向ける。
    劇場版では原作では描かれなかった巨大戦艦や多くの虫人間が登場する場面があり、また足がある描写も描かれる。
  • アレ将軍
    国王軍の現将軍。

    30年前のピッチ人攻撃の際に死亡したアポの息子。

    ゼウ大将軍の指示でベルゼブブ達と交戦するが、ラオとベルゼブブ達の連携により、いとも簡単に戦車3両を戦闘不能にされてしまい敗北を悟り投降する。

    ラオとシーフから30年前の真相を聞くが、当初は信じる事が出来ずにいた。
    しかし、国王にカマをかけ、真実である事を悟り国王軍から離反することになる。

    ラオへの通信で独り言だと称して王国の水資源がある場所を教え、見張り役にも特別休暇を与えてガラ空きの状態を作り出すなど協力した。
  • スイマーズ
    砂漠で有名な悪党で、パパとその息子パイク、シャーク、グッピーの4人組。自称「サンドランド一の悪党」。

    全員がいつも水泳パンツ姿だが、パパ以外は実際に泳いだことが無い。

    全員ベルゼブブにこらしめられるが、泉の存在を信じる彼らを次第に信じるようになる。
  • ピッチ人
    おだやかで友好的、かつ頭のいい種族で見た目は宇宙人のよう。

    ゼウ大将軍から破壊兵器を作っているという偽の情報に騙されたシバ将軍率いる戦車部隊の攻撃を受け、その際に
    生じた大爆発によって絶滅してしまった。

    しかし、実は砂漠に存在するオアシスで少数のピッチ人が生き残っており、ひっそりと暮らしている。
  • 虫人間
    対魔物用生物兵器としてドクターポセによって造り出された存在。

    ハチともカマキリともとれるような顔つきで、外装は戦車やベルゼブブの攻撃にも耐えうる固い装甲をしており、戦闘能力も通常のベルゼブブを上回る。

    執拗な攻撃によってブチギレたベルゼブブの圧倒的なパワーで戦闘不能になる。
    辛うじて生きていたが、歩み寄ってきたベルゼブブを倒すため、体内に仕込まれた爆弾をゼウ大将軍に作動され爆発飛散する。

荒涼とした砂漠の世界とその秘密

荒涼とした砂漠の世界とその秘密

『SANDLAND』の物語の舞台は、水資源の枯渇により砂漠化が進んだ広大な荒野です。この世界では水が貴重な資源となり、人々は高額な代金を払ってわずかな水を購入しています。水を独占する国王によって人々は困窮し、厳しい生活を強いられています。

一方で国王はプールに入って美女を侍らせながら水浴びをするなど贅沢な生活を送っています。

そんな中で、国王の水資源に頼らずに生きていくために幻の泉を探すというのが作中のテーマとなっています。

なぜ、国王が水資源を独占出来ているのかは、作中を通して明らかになっていきます。

また、作中では人間以外にも魔物やピッチ人などの種族も描かれており、様々な種族が存在する世界となっています。

鳥山明先生はこの過酷な砂漠地帯を緻密な背景描写で表現し、読者にその壮大なスケールを体感させます。
砂漠を吹き抜ける熱風、砂嵐、時折登場する巨大クリーチャーは、冒険のスリルと危険が見事に演出されています。

人間と悪魔の冒険譚

人間と悪魔の冒険譚

あらすじや前項の舞台設定でも述べたように、本作は水資源が枯渇した世界で、未知の水源である幻の泉を見つけるために人間と悪魔が手を組み冒険を繰り広げるという単純明快なストーリーです。

味方は正義の心を持つ保安官と心優しい悪魔、敵役は悪政をしく国王、黒幕である参謀、それに支持する国王軍など非常にシンプルで分かりやすい構図となっています。

最近の漫画は複雑な人物設定、ストーリー設定、巧妙な複線がトレンドになりつつありますが、全年齢、老若男女誰が読んでもわかりやすい物語というのは絵本を読んでいるような感覚でどこか懐かしい漫画本来の魅力があると思います。

イケオジなラオの渋さが魅力

イケオジなラオの渋さが魅力

『老人と戦車を描きたい』という鳥山明先生の思いから創作された本作である事から、とにかくラオがかっこいいです。
子供のころに読んだ時は、ベルゼブブに注目しながら読んでいた記憶がありますが、大人になった今ではラオの魅力に着目してしまいます。

生活の苦しい村人達から支援を受けて旅立ったことから畏怖の対象とされる悪魔と手を組んででも目的を遂げようとする責任感、騙されたとはいえ、過去に犯した大きな過ちとも向き合い、けじめをつけようとする姿勢、最初こそ信用していなかった悪魔とも冒険を通じて信頼関係を築き人間以上の信頼を寄せる柔軟さ、何より悪魔をも惹きつける心の純粋さと正義感。

子供のころの感性では気づけなかった魅力が今では自分の心に刺さります。

『SANDLAND』レビュー 魅力を深掘りするポイント

この項目のポイント!

・鳥山明ワールド全開のアートスタイル

・アニメ化・メディア展開の情報まとめ

・『SANDLAND』と他の鳥山明作品の共通点と相違点

・読者レビュー・評価から見る『SANDLAND』の人気ポイント

・『SANDLAND』が読めるおすすめ電子書籍サイト

鳥山明ワールド全開のアートスタイル

鳥山明ワールド全開のアートスタイル

鳥山明先生はドラゴンボールに代表される戦闘シーンの構図やコマ割りの上手さ、そしてスピードや衝撃などを視覚的に絶妙に表現される技法に注目されがちですが、コミックスの表紙の絵などにあるように『メカニックの緻密な表現』にも定評があります。

本作でもそれは存分に発揮されており、作中登場する自動車、戦車、飛行運搬船などに対して緻密で洗練されたデザインが表現されています。

緻密に描かれている事がごちゃごちゃして分かりにくいとかではなく、とにかくメカの構造や機構、立体感がしっかり伝わりとても見やすくなっているところが鳥山明先生の天才たる所以かもしれませんね。

ちなみに私はクロノトリガーのロボやシルバードのデザインも大好きです。

アニメ化・メディア展開の情報まとめ

本作は2023年8月18日にアニメ映画が公開され、原作には無かったシーンが加筆されており、原作とはまた違った内容を楽しむ事ができます。

2023年8月21日に発表された国内映画週末興行成績ランキングでは初登場第6位にランクイン(最終興行収入は不明)し、アンケートでは観客満足度96.4%を、Filmmarksの初日満足度ランキングでは1位を獲得したようです。

また、2023年11月14日、本作のWebアニメ版が『SAND LAND: THE SERIES』のタイトルで、中国本土を除く全世界でディズニープラス「スター」にて独占配信されています。
『悪魔の王子編』、『天使の勇者編』の2パート構成で全13話となっています。
本編では原作最終話以降の物語が描かれており、原作には登場しなかった新キャラクターも多数登場します。


原作を読んで、またアニメ映画を見て続きが気になった方は是非視聴してみてください!

『SANDLAND』と他の鳥山明作品の共通点と相違点

『SANDLAND』は、『ドラゴンボール』や『ドクタースランプ』といった鳥山明氏の他の作品と共通する要素を持っています。

特に、ユーモラスなキャラクターのやり取りやテンポの良い会話、緻密な背景描写などは共通点です。

しかし、『SANDLAND』は短編という形式を活かし、一つのテーマに集中しながら簡潔かつ深く描写されている点が異なります。

また、環境問題や資源の独占といった社会的テーマが物語の中心に据えられている点も他作品との大きな違いです。
こうしたシリアスなテーマと、コミカルなキャラクター描写の融合が『SANDLAND』の独自性を際立たせています。

読者レビュー・評価から見る『SANDLAND』の人気ポイント

読者レビュー・評価から見る『SANDLAND』の人気ポイント

『SANDLAND』は、「短編ながら物語に深みがある」
「鳥山明氏らしいユーモアと迫力あるアクションが詰まっている」

と多くの読者から高く評価されています。

特にベルゼブブやラオといった個性的なキャラクターたちの魅力、テンポの良い展開は物語を彩り、読者を引き込みます。

メカデザインや背景描写の緻密さも、多くのファンを惹きつける要素の一つです。
「もっと長編で見たかった」という声も多く、短編作品でありながら完成度の高さが惜しまれるほどです。
その結果、『SANDLAND』は短編でありながらも記憶に残る名作として、多くの読者の心に刻まれています。

『SANDLAND』が読めるおすすめ電子書籍サイト

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『SANDLAND』レビューのまとめ!

  • 『SANDLAND』は鳥山明先生がドラゴンボール連載終了後に描いた短期集中連載作品
  • 砂漠化した世界で水を求めて旅をする物語
  • 主人公は悪魔の王子ベルゼブブ
  • 保安官であるラオが悪魔の元を訪れベルゼブブ達と旅に出る
  • 勧善懲悪の分かりやすいストーリー
  • メカニックの緻密で洗練されたデザインが魅力!
  • 2023年8月18日にアニメ映画が公開されている
  • 続編にあたる作品として2023年11月14日に『SAND LAND: THE SERIES』が公開されている
  • お得に読むならコミックシーモアがおすすめ

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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